光藤佐個展 -ぐろう-

光藤佐個展

光藤佐個展 -ぐろう-

2020年3月14日-3月22日(会期終了)
12:00-18:00
会期中無休
◇作家在廊日:14日

おいしいたべもの、大きな家、きれいなきもの…
でももっとすばらしいものがありそうだな…
そのとき、ぐろうの目にポツンとうつったものがありました。

「ぼくは ほしになる!」

佐川美代太郎『ぐろう』こぐま社,1971,p23

 

光藤佐さんは1962年生まれ、兵庫県朝来市の山間で作陶しています。京都で陶工として勤めた後に独立、近年では薪窯焼成の器に取り組みながら書やお茶など表現の幅を広げています。
粉引や灰釉の器をはじめとした豊かな表現には営みの軌跡があらわれ、気韻を感じさせるものばかりです。踊るような赤絵の漢詩、はみ出さんばかりの刷毛や櫛文様、確かな技術に支えられ幾重にも魅力を重ねます。
朝鮮の古陶や桃山などの文脈で表現される事が多い光藤さんの器。そんな器の魅力の素、光藤さんの表現のルーツに私たちは焦点を当てました。

光藤さんは日本で初めて漫画を美術としてコースに加えた京都精華大学に在学していました。師事したのは当時漫画コースの教授に就任していた佐川美代太郎氏。60年代に現代のマンガとは違うアプローチで、漫画表現に取り組んだ美術家です。
大きくデフォルメされ写実とは程遠い作風、線画で構成された画面を特徴とします。圧倒的ともいえる熱量で書き込まれた一枚絵、コマの中で動き回るシンプルなタッチのキャラクター、一本の線から生み出される登場人物には気配が宿り、息吹すら聞こえてきそうです。

佐川美代太郎氏の下で線画を学んだ光藤さんの手にもモチーフを捉える確かな技術が培われ、その表現は轆轤、刷毛や筆を通して器へと転化されていきます。手に取ると頬が緩むどこか柔和な器は線画のように強く生き生きとしています。

今展のタイトルである「ぐろう」は佐川美代太郎氏が1971年に発表した絵本からお借りしています。美の本質ともいえる大切な事が、やさしい表現で綴られています。

「ぐろう」をタイトルとして展開する光藤さんの器表現、絵本を眺めるような身軽な心持ちでご覧ください。

◇光藤佐 略歴
1962年 兵庫県生まれ
1980年 京都府立陶工職業訓練校専攻科卒業
1986年 京都精華大学美術学部卒業
1989年 兵庫県養父市にて独立
2004年 兵庫県朝来市に薪窯を築く

 

光藤佐器

 

光藤佐器

 

光藤佐個展

 

光藤佐

.